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『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章~紋章を継ぐ者達へ~』最終第34巻の発売を記念して、「藤原カムイ先生×堀井雄二さん」完結記念対談を全文公開!
最終第34巻は2020年3月25日発売!
2004年から15年に渡り『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)で連載されてきた『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章~紋章を継ぐ者達へ~』(作画:藤原カムイ、脚本:梅村崇、監修:堀井雄二)が堂々完結し、最終第34巻が3月25日に発売されます。

最終第34巻の発売を記念して『ヤングガンガン』2020 No.02(2020年1月4日発売)に掲載された藤原カムイ先生と堀井雄二さんによる夢の対談の模様を、本サイトにて全文公開いたしました!

ラストエピソードについてお二人が語り合う一幕など、ファン必見の対談です。どうぞご覧ください!

※第34巻に収録されたエピソードに触れる内容が含まれております。未読の方はあらかじめご注意ください。
※本対談は2019年11月28日にスクウェア・エニックスにて収録され、『ヤングガンガン』2020 No.02(2020年1月4日発売)に掲載されたものです。


藤原カムイ先生×堀井雄二さん完結記念スペシャル対談


―『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章~紋章を継ぐ者達へ~』(以下、『紋継ぐ』)が、今号で完結となります。カムイ先生、お疲れ様でした!

堀井雄二(以下、堀井) 最初に連載が始まってから30 年くらい経ちますよね。本当にお疲れ様でした。

藤原カムイ(以下、藤原) ありがとうございます。

― 今回お二人に集まっていただいたということで、まずは『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』(以下、『ロト紋』)の連載当初のエピソードから伺っていきたいと思います。

堀井 当時『ドラゴンクエスト』(以下、『DQ』)が社会現象になって、週刊少年ジャンプで『DQ』の世界を舞台にした『DRAGON QUEST ーダイの大冒険ー』というマンガを連載することになりました。そこから少し経ってから、月刊少年ガンガンでも『DQ』のマンガを連載したいという話が持ち上がったんです。

― なるほど。その段階で、カムイ先生が描かれるということは聞かれていたのですか?

堀井 聞いていました。それで「カムイ先生ならお任せできるな」と思って承諾したんです。

―カムイ先生のことはご存じだったのですか?

堀井 描かれた作品は知っていました。『チョコレートパニック』を読ませていただいて、「できるマンガ家さんだな」と思っていたんです。

―そうだったんですね。カムイ先生には、どういった形で連載のお話が舞い込んだのですか?

藤原 本当は、他の作家さんが描くという話だったらしいのですが、大人の事情でダメになったらしく(笑)。僕に決めていただいたみたいです。

― 実際にお二人が会われたのは……?

堀井 連載が始まってからなんですよ。

藤原 最初にお目にかかったのは、エニックス主催の出版パーティーの会場だったと思います。実はそのとき、堀井さんに「『ロト紋』のお話は『DQ』らしくない」なんて言われたらどうしようと思っていたんですけどね(笑)。

― そんな心配をされていたんですか!?

藤原 自分で勝手にそう思っていて、堀井さんに質問をした記憶があります。

堀井 ボク的には、全然大丈夫だったんですけどね(笑)。マンガ作品なので、ゲームとは少し違う感じにしてもらいたいという気持ちの方が強かったんです。ゲームはインタラクティブなメディアですけれど、マンガは一方向性の楽しいメディアですからね。それなのに同じようにしてもらうのは違うなって思っていて。

― そういう意味で『ロト紋』は理想的だった?

堀井 そうなんです。カムイ先生の世界観で描いていただけてよかったと思っています。

― ところで、『ロト紋』が『DQIII』の世界観をベースにしているのは、どちらが決められたのですか?

藤原 記憶が定かではないのですが、決めたのは編集部だったような……? ただ、タイミング的に連載がスタートしたのは『DQV』が出る前だったと思うのですが、それまでの作品の中で一番好きだったのが『DQIII』だったので、すんなり受け入れられました。

― 堀井さんはかつてマンガ家を目指されていたのですよね?

堀井 そうなんです。高校時代はマンガ家になるつもりでいましたね。描いたマンガを持って上京して、出版社を回ったこともありましたね。でも、やんわり断られて(笑)。

― あははは(笑)。マンガ家を目指した方、そして実際にマンガ家になった方がこの場にそろったことですし、お二人が影響を受けたマンガ家さん、作品などを伺っていきたいのですが。まずはカムイ先生からお願いします。

藤原 俗に言うトキワ荘メンバーにはひと通り影響を受けていると思いますね。それを経て、興味が月刊漫画ガロやCOMに移っていきましたね。ガロでは、永島慎二先生の『フーテン』、COMでは手塚治虫先生の『火の鳥』がとくに好きでした。そこから、メビウスというフランスの作家さんにも刺激を受けて。あと、1970年代後半から1980年代にマンガ界で起きる”ニューウェーブ”という流行にも影響されましたね。

― ニューウェーブというのは、それまでのマンガのジャンルに囚われないような作品が作られた流行のことですよね。

藤原 そうです。ガロに連載されていたひさうちみちお先生の『パースペクティブキッド』は印象的でした。後年、それがニューウェーブに分類されるようになるんですけどね。あとは、のちに『アキラ』を描く大友克洋先生や、『絶対安全剃刀』を描いていた高野文子先生にも影響を受けています。

― お話を伺っていると、影響を受けたのはいわゆる当時の超メジャー作品ばかりというわけでもなくて……。

藤原 そうですね。ちょっとアウトローな作品の影響もあります(笑)。

― ありがとうございます。堀井さんはいかがでしょう?

堀井 子どものころ、ボクの家の裏に貸本屋があったんですよ。だから、当時は本当にマンガしか読まなかったんです(笑)。

一同 (笑)。

堀井 「貸本屋に並んだマンガは全部読む」くらいの勢いでしたね。その中でも影響を受けたのは、やっぱり手塚治虫先生です。「時間よとまれ!」って言うと時を止められる少年が主人公の『ふしぎな少年』だとか、カムイ先生と同じ『火の鳥』も好きでした。あとは、ちょっと怖い藤子不二雄Ⓐ先生の『魔太郎がくる!!』も好きでしたね。以降もけっこう王道で『巨人の星』、『あしたのジョー』、『バイオレンスジャック』、『あばしり一家』なんかにハマった覚えがあります。で、高校生くらいでやっと小説を読み始めるんです。

―意外と遅い小説デビューですね(笑)。

堀井 そうなんですよ(笑)。星新一先生や小松左京先生、司馬遼太郎先生の小説を読んでいました。そして大学に入学すると漫画研究会に入るのですが、そこでガロに出会って。つげ義春先生や林静一先生に影響を受けましたね。

― なるほど。お二人ともガロを通ってきているというのは発見でした。

藤原 当時マンガ家を目指そうとした人にとっては、ガロやCOMは避けて通れない雑誌だったと思いますね。



― ところで、堀井さんから見れば、カムイ先生は青春時代に憧れた職業に就いている方になると思うのですが、羨ましさを感じますか?

堀井 いや、今ではゲームデザイナーになってよかったなと思っています(笑)。ボクは人にイタズラを仕掛けるのが好きなんですけど、ゲームって遊ぶ人の動きやリアクションを想像しながら作れるじゃないですか。その部分が楽しいので、結果的にはゲームデザイナーになってよかったなと思っています。マンガ家さんは、与えるものだけで感動させたりしなければいけないですからね。それは大変だと思うんですよ。

― カムイ先生は堀井さんのような仕事に対する憧れはありますか?

藤原 僕は、ゲーム作りに対して羨ましさを感じます。ゲームって、音楽や効果音が使えるじゃないですか? それらはマンガにはない要素なので、とても羨ましく思います。あと、ゲームは能動的に参加できるものなので、没入感も違うと思うんです。そういった面では、憧れますね。

― なるほど。ということは、マンガでは表現できないですが、そのシーンに合ったBGMがカムイ先生の頭の中で鳴っていて……それを伝えたいということなのでしょうか?

藤原 僕は海外ドラマを流して、聞きながら作業をしていたりするのですが、それとは別にシーンに合うような曲をいつも頭の中でイメージしていますね。描き手としては、「これも伝われば」とは思いますが、読みながら皆さんそれぞれのBGMが鳴ってくれているといいな、という感じですね。

― ちなみに、ご覧になっている海外ドラマってどんなものなんですか?

藤原 映画も含めていろいろ観るんですが、『ブレイキング・バッド』はずっと観ていましたね。

― 名作ですね! そう言えば、堀井さんもドラマはお好きですよね?

堀井 いわゆるトレンディと言われる日本のドラマはほとんど観ていますね。最近では『まだ結婚できない男』や『4分間のマリーゴールド』は観ていました。あと……これ言っていいのかな? 『転生したらスライムだった件』を観てみたんですけど、意外とおもしろいなと思いました(笑)。

― 一瞬躊躇されたので、どんな作品を言われるのかと思いました(笑)。

藤原 そういえば、堀井さんに初めてお目にかかったとき、僕も「どんなものから影響を受けているのですか?」って伺ったんですよ。そうしたら、「テレビをよく観ています」って仰っていたことを思い出しました。

堀井 そう、ボクはミーハーなんですよ(笑)。それは当時から変わらないですね。

― お二人ともモノ作りという仕事をされているわけですが、やはり「生みの苦しみ」はありますか?

藤原 作品を作ることに対してはあまりないのですが……机に向かう気持ちを作るまでが大変ですね(笑)。

堀井 すごくよくわかります。「ご飯を食べたらやろう!」なんて思っていても、実際にご飯を食べたら「ちょっと休んでからにしよう」なんて感じでね(笑)。

― 堀井さんも同じタイプなんですね(笑)。

堀井 ボクは、夏休みの宿題を最後の最後のギリギリまでやらなかったタイプなので(笑)。やり始めると早かったりするんですけどね。

― では、「この仕事をやっていてよかった」と思うことはありますか?

藤原 こちらの意図が伝わって、それに対する言葉が返ってくるのはやはりうれしいです。

― 読者の方の声というのは、ネットで?

藤原 そうですね、Twitterなどで。あまり積極的にネットを調べたりはしませんが。

― 堀井さんはいかがですか?

堀井 『DQIII』のころ、たくさんの取材を受けたのですが、記者の方って年上が多くて。ゲームのことを知らないから「オタクなんですか?」なんて言われたりしたんです。でも、今では取材の際に「ファンでした」なんて言われることも多くて。それはとてもうれしいですね。

藤原 言われてみれば、『DQ』と『指輪物語』が世に出るまでは、ファンタジーの世間的な評価は本当に低かったですからね。少年誌でも「ファンタジーなんてウケないからやるな!」といった風潮でした。

堀井 今では、ファンタジーのドラゴンもふつうになりましたね。

― ある意味、世の中を変えられたきっかけになったのかもしれませんね。続いては、お二人に質問を交換していただきたいのですが、まずはカムイ先生から堀井さんに質問してみたいことをお願いします。

藤原 『ロト紋』と『紋継ぐ』を執筆してきて、いちばん欲しかったのは「公式感」だったりするのですが、何%くらいまで近付けたでしょう?

堀井 結構近付いていますよ! 90%くらいは行ってると思います。

藤原 よかったです(笑)。

堀井 じゃあ、次はボクからの質問なんですが、最終回目前の312話でアロスがゾーマにベホマをかけるシーンがあるじゃないですか。そのシーンがすごくよくて。特に主人公がゾーマを助けるつもりだったのが秀逸で。あのアイデアはいつ思いついたんですか?

藤原 単行本で言うと、1巻前くらいですね。ただ、ベホマを武器にはしたくなかったんですよ。意図とは違う形でそうなってしまうという。

堀井 そうだったんですね。そのシーンを含めて、本当にいいラストでした。ゲームの設定も生かされているし、ジーンと来ましたね。

― では、そろそろ締めの話題へと移らせていただきます。カムイ先生にとってズバリ『ロト紋』と『紋継ぐ』とはどんな作品でしたか?

藤原 僕にとって2作品は「ゲームプレイ」でしたね。マップを広げて「ここを探索したから、つぎはどこに行こうか」というような。ゲームとして存在している世界なので、そこをどう冒険していってそこで何が起こるのか、という。

―なるほど!

藤原 ただ、描くときにちょっと苦労したのは昼と夜の設定ですね。

― 具体的に教えてください。

藤原 「舞台は昼と夜がある惑星だろう。だから、ここからルーラで飛ぶと、このあたりの地域は夜じゃなきゃダメじゃないかな?」みたいなことを考えながら描いたりして。

― そこまで気を遣われているとは……。もう一度読み直してみたくなりますね。では、堀井さんにとって『ロト紋』と『紋継ぐ』とは?

堀井 ボクにとっては「もうひとつの『DQ』の世界」という感じですね。

― 公式感という意味では、これ以上ない言葉なのではないでしょうか!

藤原 うれしいですね。

― ところで、『紋継ぐ』は今回完結しましたが、今後スピンオフなどを描かれる構想はあるのでしょうか?

藤原 ……あります。その構想はもうある程度できています。

― おお! 差し支えなければ、どんなストーリーなのか教えていただけますか?

藤原 ゲームと同じく、『紋継ぐ』の後に『DQI』の世界に繋がっていくのですが、そのためのもうひと押しを描きたいと思っています。竜王と『DQI』の勇者の関係性を……ギャグで。

― ギャグで? ギャグでいいんですか?(笑)

藤原 いまの構想では、ギャグじゃないとちょっと都合が悪いんです(笑)。

堀井 ギャグかあ。パロディ的な感じですかね? 気になっちゃうなあ(笑)。

― 内容は乞うご期待! ですね(笑)。そんなスピンオフ作品に期待しつつ、今回の対談は幕とさせていただきます。お二人とも、本日は本当にありがとうございました。




『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章~紋章を継ぐ者達へ~』最終巻発売記念サイトはコチラ!
https://magazine.jp.square-enix.com/yg/special/2003_roto/

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